電験三種の過去問解説(理論):2019年(令和元年)問9
角周波数の変化した時の電流の実効値(計算)
図は、実効値が1Vで角周波数ω[krad/s]が変化する正弦波交流電源を含む回路である。いま、ωの値がω1=
5krad/s、ω2=10krad/s、ω3=30krad/ sと3通りの場合を考え、ω=ωk(k=1,2,3) のときの電流i[A]の実効値をIkと表すとき、I1、I2 、I3の大小関係として、正しいものを次の(1)~(5)のうち から一つ選べ。
\((1)I_1<I_2<I_3\) \((2)I_1=I_2<I_3\) \((3)I_2<I_1<I_3\) \((4)I_2<I_1=I_3\) \((5)I_3<I_2<I_1\)
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過去問解説
コイルとコンデンサのリアクタンスは下記式で表されます。
リアクタンス
コイル:\(jωL\)
コンデンサ:\(\displaystyle\frac{1}{jωC}\)
角周波数が変化するとリアクタンスも変化するので、3通りの角周波数ごとにリアクタンスを求めて、電流の大きさを比較しましょう。
角周波数\(ω_1=5krad/s\)の場合
<コイルのリアクタンス>
\(jω_1L=j5×10^3×1×10^{-3}=j5\)
<コンデンサのリアクタンス>
\(\displaystyle\frac{1}{jω_1C}=\displaystyle\frac{1}{j5×10^3×10×10^{-6}}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{j0.05}\)
\(=-j20\)
<電流>
\(\dot{I_1}=\displaystyle\frac{V}{R}+\displaystyle\frac{V}{jω_1L}+\displaystyle\frac{V}{\displaystyle\frac{1}{jω_1C}}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{100×10^3}+\displaystyle\frac{1}{j5}+\displaystyle\frac{1}{-j20}\)
\(=0.01×10^{-3}-j0.2+j0.05\)
\(=0.01×10^{-3}-j0.15\)
\(I_1=\sqrt{(0.01×10^{-3})^2+0.15^2}=0.15\)
角周波数\(ω_2=10krad/s\)の場合
<コイルのリアクタンス>
\(jω_2L=j10×10^3×1×10^{-3}=j10\)
<コンデンサのリアクタンス>
\(\displaystyle\frac{1}{jω_2C}=\displaystyle\frac{1}{j10×10^3×10×10^{-6}}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{j0.1}\)
\(=-j10\)
<電流>
\(\dot{I_2}=\displaystyle\frac{1}{100×10^3}+\displaystyle\frac{1}{j10}+\displaystyle\frac{1}{-j10}\)
\(=0.01×10^{-3}-j0.1+j0.1\)
\(=0.01×10^{-3}\)
\(I_2=\sqrt{(0.01×10^{-3})^2}=0.01×10^{-3}\)
角周波数\(ω_3=30krad/s\)の場合
<コイルのリアクタンス>
\(jω_3L=j30×10^3×1×10^{-3}=j30\)
<コンデンサのリアクタンス>
\(\displaystyle\frac{1}{jω_3C}=\displaystyle\frac{1}{j30×10^3×10×10^{-6}}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{j0.3}\)
\(=-j\displaystyle\frac{10}{3}\)
<電流>
\(\dot{I_3}=\displaystyle\frac{1}{100×10^3}+\displaystyle\frac{1}{j30}+\displaystyle\frac{1}{-j\displaystyle\frac{10}{3}}\)
\(=0.01×10^{-3}-j0.033+j0.3\)
\(=0.01×10^{-3}+j0.267\)
\(I_3=\sqrt{(0.01×10^{-3})^2+0.267^2}=0.267\)
電流の大きさ比較
\(I_1=0.15\)
\(I_2=0.01×10^{-3}\)
\(I_3=0.267\)
\(I_2<I_1<I_3\)
したがって、(3)が正解です。