電験三種 電験三種の過去問解説

【ヒント掲載で使い易い】電験三種(理論)の過去問題集2019★動画と図でやさしく解説

2019年10月28日

電験三種の過去問解説(理論):2019年(令和元年)問15
電気力線の様子と鉛直方向に引き上げる仕事(計算)

図のように、平らで十分大きい導体でできた床から高さh[m]の位置に正の電気量Q[C]をもつ点電荷がある。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、点電荷から床に下ろした垂線の足を点O、床より上側の空間は真空とし、床の導体は接地されている。真空の誘電率をε0[F/m]とする。

(a)床より上側の電界は、点電荷をつくる電界と、床の表面に静電誘導によって現れた面電荷のつくる電界との和になる。床より上側の電気力線の様子として、適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(b)点電荷は床表面に現れた面電荷から鉛直方向の静電吸引力F[N]を受ける。その力は床のない状態で点Oに固定した電気量\(-\displaystyle\frac{Q}{4}[C]\)の点電荷から受ける静電力に等しい。F[N]に逆らって、点電荷を高さh[m]からz[m](ただしh<z)まで鉛直方向に引き上げるのに必要な仕事W[J]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\((1)\displaystyle\frac{Q^2}{4πε_0z^2}\) \((2)\displaystyle\frac{Q^2}{4πε_0}(\displaystyle\frac{1}{h}-\displaystyle\frac{1}{z})\) \((3)\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0}(\displaystyle\frac{1}{h}-\displaystyle\frac{1}{z})\)
\((4)\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0z^2}\) \((5)\displaystyle\frac{Q^2}{πε_0}(\displaystyle\frac{1}{h^2}-\displaystyle\frac{1}{z^2})\)

出典元:一般財団法人電気技術者試験センター

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電気力線

の電荷からの電荷へ入る

・電気力線同士は交わらない

・等電位面(導体の表面など)に直交する

電荷の吸引力

\(F=\displaystyle\frac{Q_1Q_2}{4πε_0h^2}\)


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過去問解説

(a)電気力線の様子

電気力線のポイントは下記の通りである。

 

電気力線

の電荷からの電荷へ入る

・電気力線同士は交わらない

・等電位面(導体の表面など)に直交する

 

(1)は、電気力線が『正の電荷から負の電荷に入っていない』ので誤り。

(2)は、電気力線が『交わっており、かつ等電位面に直交していない』ので誤り。

(3)は、電気力線が『直交していない』ので誤り。

(4)は、電気力線が『正の電荷以外から負の電荷に入っている』ので誤り。

 

したがって、全てのポイントを満たす(5)が正解です。

 

(b)電荷を鉛直方向に引き上げるの必要な仕事

\(Q[C]\)と\(-\displaystyle\frac{Q}{4}[C]\)で符号の異なる電荷において、お互いが引き寄せあう方向に吸引力が働く。

電荷の吸引力

\(F=\displaystyle\frac{Q_1Q_2}{4πε_0h^2}\)

 

上記式を参考に、h点の吸引力とz点の吸引力を表す式は、

\(F_h=\displaystyle\frac{Q×\displaystyle\frac{Q}{4}}{4πε_0h^2}=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0h^2}\)

\(F_z=\displaystyle\frac{Q×\displaystyle\frac{Q}{4}}{4πε_0z^2}=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0z^2}\)

となる。

 

吸引力に逆らって鉛直方向に引き上げるのに必要な仕事は、『力×距離』で求められるので、h点のエネルギーとz点のエネルギーを表す式は、

\(W_h=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0h^2}×h=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0h}\)

\(W_z=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0z^2}×h=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0z}\)

となる。

 

よって、h点からz点まで引き上げるのに必要な仕事は、

\(W=W_h-W_z\)

   \(=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0h}-\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0z}\)

   \(=\displaystyle\frac{Q^2}{16πε_0}(\displaystyle\frac{1}{h}-\displaystyle\frac{1}{z})\)

 

したがって、(3)が正解です。

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