電験三種 電験三種の過去問解説

【ヒント掲載で使い易い】電験三種(理論)の過去問題集2019★動画と図でやさしく解説

2019年10月28日

電験三種の過去問解説(理論):2019年(令和元年)問18
ディジタル直流電圧計の原理と測定電圧(計算)

図1は、二重積分形A-D変換器を用いたディジタル直流電圧計の原理図である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)図1のように、負の基準電圧-Vr(Vr>0)[V]と切換スイッチが接続された回路があり、その回路を用いて正の未知電圧Vx(>0)[V]を測定する。まず、制御回路によってスイッチがS1側へ切り換わると、時刻t=0sで測定電圧Vx[V]が積分器へ入力される。その入力電圧Vi[V]の時間変化が図2(a)であり、積分器からの出力電圧Vo[V]の時間変化が図2(b)である。ただし、t=0sでの出力電圧をVo=0Vとする。時刻t1におけるVo[V]は、入力電圧Vi[V]の期間0~t1[s]で囲われる面積Sに比例する。積分器の特性で決まる比例定数をk(>0)とすると、時刻t=T1[s]のときの出力電圧は、Vm= \(\fbox{ (ア) }\) [V]となる。
定められた時刻t=T1[s]に達すると、制御回路によってスイッチがS2側に切り換わり、積分器には基準電圧-Vr[V]が入力される。よって、スイッチS2の期間中の時刻t[s]における積分器の出力電圧の大きさは、Vo=Vm - \(\fbox{ (イ) }\) [V]と表される。
積分器の出力電圧Voが0Vになると、電圧比較器がそれを検出する。Vo=0Vのときの時刻をt=T1+T2[s]とすると、測定電圧はVx= \(\fbox{ (ウ) }\) [V]と表される。さらに、図2(c)のようにスイッチS1、S2の各期間T1[s]、T2[s]中にクロックパルス発振器から出力されるクロックパルス数をそれぞれN1、N2とすると、N1は既知なのでN2をカウントすれば、測定電圧Vxがディジタル信号に変換される。ここで、クロックパルスの周期Tsは、クロックパルス発振器の動作周波数に \(\fbox{ (エ) }\) する。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) \(kV_xT_1\) \(kV_r(t-T_1)\) \(\displaystyle\frac{T_2}{T_1}V_r\) 反比例
(2) \(kV_xT_1\) \(kV_rT_2\) \(\displaystyle\frac{T_2}{T_1}V_r\) 反比例
(3) \(k\displaystyle\frac{V_x}{T_1}\) \(k\displaystyle\frac{V_r}{T_2}\) \(\displaystyle\frac{T_1}{T_2}V_r\) 比例
(4) \(k\displaystyle\frac{V_x}{T_1}\) \(k\displaystyle\frac{V_r}{T_2}\) \(\displaystyle\frac{T_1}{T_2}V_r\) 反比例
(5) \(kV_xT_1\) \(kV_r(t-T_1)\) \(T_1T_2V_r\) 比例

(b)基準電圧がVr=2.0V、スイッチS1の期間T1[s]中のクロックパルス数がN1=1.0×103のディジタル直流電圧計がある。この電圧計を用いて未知の電圧Vx[V]を測定したとき、スイッチS2の期間T2[s]中のクロックパルス数がN2=2.0×103であった。測定された電圧Vxの値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.5 (2)1.0 (3)2.0 (4)4.0 (5)8.0

出典元:一般財団法人電気技術者試験センター


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過去問解説

(a)電圧を表す式

時刻t1におけるVo[V]は、入力電圧Vi[V]の期間0~t1[s]で囲われる面積Sに比例すると記述されているので、時刻t=T1[s]のときの出力電圧\(V_m\)は、

\(V_m=kV_xT_1\)・・・①式

となります。

 

スイッチS2の期間中の時刻t[s]における積分器の出力電圧\(V_o\)は、

\(V_o=V_m-kV_r(t-T_1)\)・・・②式

となります。

 

\(V_o=0V\)のときの時刻を\(t=T_1+T_2[s]\)とすると、①②式より、

    \(V_o=V_m-kV_r(t-T_1)\)

    \(0=kV_xT_1-kV_r(T_1+T_2+-T_1)\)

    \(0=kV_xT_1-kV_rT_2\)

\(kV_xT_1=kV_rT_2\)

  \(V_x=\displaystyle\frac{T_2}{T_1}V_r\)・・・③式

 

周期\(T_s\)と周波数fは\(T_s=\displaystyle\frac{1}{f}\)の関係にあるため、クロックパルスの周期\(T_s\)は、クロックパルス発振器の動作周波数に反比例します。

 

したがって、(1)が正解です。

 

(b)ディジタル直流電圧計の値

図2を見てわかる通り、『T1とT2の関係』と『N1とN2の関係』は等しいです。つまり、

\(T_1:T_2=N_1:N_2\)

   \(T_2N_1=T_1N_2\)

  \(\displaystyle\frac{T_2}{T_1}=\displaystyle\frac{N_2}{N_1}\)

となります。

 

(a)の③式より、

\(V_x=\displaystyle\frac{T_2}{T_1}V_r\)

   \(=\displaystyle\frac{N_2}{N_1}V_r\)

   \(=\displaystyle\frac{2×10^3}{1×10^3}×2\)

   \(=4[V]\)

 

したがって、(4)が正解です。

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