電験三種の過去問解説(電力):2016年(平成28)問6
並行運転した変圧器の過負荷運転状態(計算)
一次側定格電圧と二次側定格電圧がそれぞれ等しい変圧器Aと変圧器Bがある。変圧器Aは、定格容量\(S_A=5000kV・A\)、パーセントインピーダンス\(\%Z_A=9.0\%\)(自己容量ベース)、変圧器Bは、定格容量\(S_B=1500kV・A\)、パーセントインピーダンス\(\%Z_B=7.5\%\)(自己容量ベース)である。この変圧器2台を並行運転し、\(6000kV・A\)の負荷に供給する場合、過負荷となる変圧器とその変圧器の過負荷運転状態[%](当該変圧器が負担する負荷の大きさをその定格容量に対する百分率で表した値)の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
過負荷となる変圧器 過負荷運転状態[%] (1) 変圧器A 101.5 (2) 変圧器B 105.9 (3) 変圧器A 118.2 (4) 変圧器B 137.5 (5) 変圧器A 173.5
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過去問のポイント
2台の変圧器を並行運転して、どちらの変圧器が過負荷になっているのか求める計算問題は、パーセントインピーダンスに苦手意識を抱く方もいらっしゃいますが、解き方のパターンが決まっています。
解き方自体は単純なので、パーセントインピーダンスに対する苦手意識は早い段階で払拭しておきましょう!
step
1容量を揃えた場合のパーセントインピーダンス
各変圧器が負担する容量を求める際は、変圧器Aと変圧器Bの容量を揃えたときのパーセントインピーダンスを使用します。
とりあえず、今回は変圧器Bを変圧器Aの容量に揃えてみましょう。(どっちでも良いです)
\(S_B:\%Z_B=S'_B:\%Z'_B\)
\(1500:7.5=5000:\%Z'_B\)
\(1500×\%Z_B=7.5×5000\)
\(\%Z_B=\displaystyle\frac{7.5×5000}{1500}\)
\(\%Z_B=25[\%]\)
step
2過負荷となる変圧器
各変圧器が負担する容量を求めて、定格容量よりも多く負担している変圧器が過負荷です。
変圧器A
\(P_A=\displaystyle\frac{\%Z'_B}{\%Z_A+\%Z_B}×6000\)
\(=\displaystyle\frac{25}{9+25}×6000\)
\(=4412[kV・A]\)
変圧器B
\(P_B=6000-P_A\)
\(=6000-4412\)
\(=1588[kV・A]\)
変圧器A:負担容量\(P_A=4412kV・A\)<定格容量\(S_A=5000kV・A\)
変圧器B:負担容量\(P_B=1588kV・A\)>定格容量\(S_B=1500kV・A\)
したがって、変圧器Bが過負荷になっています。
step
3変圧器の過負荷運転状態
変圧器Bがどれくらい過負荷なのか計算します。
電験の知識というよりは、算数レベルの計算なので、変圧器Bが負担する容量さえ求められれば簡単だと思います。
\(過負荷運転状態=\displaystyle\frac{P_B}{S_B}×100[\%]\)
\(=\displaystyle\frac{1588}{1500}×100[\%]\)
\(=105.9[\%]\)
したがって、(2)が正解です。