電験三種の過去問解説(電力):2015年(平成27)問8
架空送電線の振動(穴埋)
次の文章は、架空送電線の振動に関する記述である。
多導体の架空送電線において、風速が数~20m/sで発生し、10m/sを超えると振動が激しくなることを \(\fbox{ (ア) }\) 振動という。
また、架空電線が、電線と直角方向に穏やかで一様な空気の流れを受けると、電線の背後に空気の渦が生じ、電線が上下に振動を起こすことがある。この振動を防止するために \(\fbox{ (イ) }\) を取り付けて振動エネルギーを吸収させることが効果的である。この振動によって電線が断線しないように \(\fbox{ (ウ) }\) が用いられている。
その他、架空送電線の振動には、送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けたときに発生する \(\fbox{ (エ) }\) や、送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象などがある。
上記の記述中の空白箇所(ア) 、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) コロナ スパイラルロッド スペーサ スリートジャンプ (2) サブスパン ダンパ スペーサ スリートジャンプ (3) コロナ ダンパ アーマロッド ギャロッピング (4) サブスパン スパイラルロッド スペーサ スリートジャンプ (5) サブスパン ダンパ アーマロッド ギャロッピング
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過去問のポイント
風による架空送電線の振動に関する簡単な問題です。
しかし、今回と異なる部分を穴埋めで問われたら難易度が急激に上がります!穴埋部分だけでなく、問題文全体をしっかりと覚えておきましょう!
問題を解くポイント
- 多導体に生じる振動(ア)
- 微風振動の対策(イ)(ウ)
- 氷雪付着時の振動(エ)
多導体に生じる振動
サブスパン振動
サブスパン内で発生する振動
(サブスパン:1相の多導体の内でスペーサとスペーサで区切られた間隔のこと。)
したがって、(ア)にはサブスパンが入ります。
ポイント
サブスパン振動の対策 ➡ スペーサの配置を適切に行う
微風振動の対策
微風振動対策
・ダンパ:振動エネルギーを吸収し、振動の発生を防止
・アーマロッド:電線を補強して、電線の振動による断線(素線切れ)を防止
したがって、(イ)にはダンパ、(ウ)にはアーマロッドが入ります。
ついでに、スパイラルロッドとスペーサについても、意味を覚えておきましょう。
関連
・スパイラルロッド:電線に着雪しにくくするためのもの
・スペーサ:多導体方式を採用した場合に、導体間に設けられるもの
氷雪付着時の振動
ギャロッピング
架空送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けたときに発生する上下振動
したがって、(エ)にはギャロッピングが入ります。
ギャロッピングについては、発生しやすい条件と不具合もあわせて覚えておきましょう。
あわせて覚えよう
【発生しやすい条件】
①電線の断面積が大きいほど発生しやすい
②単導体より多導体の方が発生しやすい
【不具合】
①相間短絡事故を生じる場合がある
②スペーサの損傷、金具類の機械的疲労
スリートジャンプ
電線に付着した氷雪が一斉に脱落して電線が跳ね上がる現象