電験三種 電験三種の過去問解説

電験三種(理論)の過去問解説:2020年問3【導体に発生する電磁力】

2020年12月9日

令和2年度(2020年):第三種電気主任技術者試験(理論)問3


平等な磁束密度\(B_0[T]\)のもとで、一辺の長さが\(h[m]\)の正方形ループABCDに直流電流\(I[A]\)が流れている。\(B_0[T]\)の向きは辺ABと平行である。\(B_0[T]\)がループに及ぼす電磁力として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)大きさ\(2IhB_0[N]\)の力
(2)大きさ\(4IhB_0[N]\)の力
(3)大きさ\(Ih^2B_0[N・m]\)の偶力のモーメント
(4)大きさ\(2Ih^2B_0[N・m]\)の偶力のモーメント
(5)力も偶力のモーメントも働かない

出典元:一般財団法人電気技術者試験センター

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電磁力の公式

\(F=ILB[N]\)

\(I:電流[A]\)
\(L:導体の長さ[m]\)
\(B:磁束密度[T]\)

力のモーメント

\(M=Fr[N・m]\)

\(F:力[N]\)
\(r:回転軸から作用点までの距離[m]\)

動画解説

過去問解説(2020年理論問3)

平等な磁束密度\(B_0[T]\)のもとで導体に電流を流すと、フレミング左手の法則に従った方向に電磁力が生じます。

 

電磁力は、磁束と電流の向きが直交している場合に働くので、辺BCと辺ADに生じます。

 

フレミング左手の法則より、

辺BC:上向きの電磁力

辺AD:下向きの電磁力

が生じます。

電磁力は下記公式で求められるので、

電磁力の公式

\(F=ILB[N]\)

\(I:電流[A]\)
\(L:導体の長さ[m]\)
\(B:磁束密度[T]\)

辺BCと辺ADに働く電磁力は、

\(F_{BC}=IhB_0[N]\)

\(F_{AD}=IhB_0[N]\)

と表せる。

 

この時、電磁力の作用点が異なるので、力の足し算や引き算はできません。

 

辺BCに上向きの電磁力…辺ADに下向きの電磁力が生じるので、正方形ループABCDには反時計回りに回転する力のモーメントが生じます。
(*同じ大きさで平行かつ反対向きの力偶力と言います)

 

力のモーメントは下記式で求められるので、

力のモーメント

\(M=Fr[N・m]\)

\(F:力[N]\)
\(r:回転軸から作用点までの距離[m]\)

辺BCと辺ADに生じる力のモーメントは、

\(M_{BC}=F_{BC}×\displaystyle\frac{h}{2}\)

   \(=IhB_0×\displaystyle\frac{h}{2}\)

   \(=\displaystyle\frac{Ih^2B_0}{2}\)

\(M_{AD}=F_{BC}×\displaystyle\frac{h}{2}\)

   \(=IhB_0×\displaystyle\frac{h}{2}\)

   \(=\displaystyle\frac{Ih^2B_0}{2}\)

 

\(M_{BC}=M_{AD}\)となり、偶力によるモーメントの和より、

\(M=M_{BC}+M_{AD}\)

    \(=\displaystyle\frac{Ih^2B_0}{2}+\displaystyle\frac{Ih^2B_0}{2}\)

    \(=Ih^2B_0[N・m]\)

 

従って、(3)が正解です。

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