電験三種の過去問解説(機械):2019年(令和元年)問7
電気機器の損失(穴埋)
次の文章は、電気機器の損失に関する記述である。
a コイルの電流とコイルの抵抗によるジュール熱が \(\fbox{ (ア) }\) であり、この損失を低減するため、コイルを構成する電線の断面積
を大きくする。
交流電流が並列コイルに分かれて流れると、並列コイル間の電流不平衡からこの損失が増加する。この損失を低減する ため、並列回路を構成する各コイルの鎖交磁束と抵抗値、 すなわち、各コイルのインピーダンスを等しくする。 b 鉄心に交流磁束が通ると損失が発生する。その成分は \(\fbox{ (イ) }\) と \(\fbox{ (ウ) }\) の二つに分類される。前者は、交流磁束によって誘導された電流が
鉄心を流れてジュール熱として発生する。そこで、 電気抵抗が高い強磁性材料や、表面を絶縁膜で覆った薄い鉄板を積 層した積層鉄心を磁気回路に用いて、 電流の経路を断つことで損失を低減する。後者は、鉄心の磁束が磁 界の履歴に依存するために発生する。この \(\fbox{ (ウ) }\) を低減するために電磁鋼板が磁気回路に広く用いられている。 c 上記の電磁気要因の損失のほか、電動機や発電機では、回転子の運
転による軸受け摩擦損や冷却ファンの空気抵抗による損失などの \(\fbox{ (エ) }\) がある。 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ
)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)の うちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 銅損 渦電流損 ヒステリシス損 機械損 (2) 鉄損 抵抗損 ヒステリシス損 銅損 (3) 銅損 渦電流損 インダクタンス損 機械損 (4) 鉄損 機械損 ヒステリシス損 銅損 (5) 銅損 抵抗損 インダクタンス損 機械損
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過去問解説
(ア):銅損
銅損はコイルを流れる電流によって生じるジュール熱です。
銅損低減
・断面積Sを大きくする\(R=\displaystyle\frac{ρℓ}{S}\)
・(交流電流が並列コイルに流れる場合)各コイルのインピーダンスを等しくする
(イ):渦電流損
(ウ):ヒステリシス損
鉄損は、渦電流損とヒステリシス損の2つからなります。
渦電流損の低減
・電気抵抗が高い強磁性材料を用いる
・表面を絶縁膜で覆った薄い鉄板を積層した鉄心を用いる
(エ):機械損
機械損には、回転子運動による軸受け摩擦損や、冷却ファンの空気抵抗損がある。
したがって、(1)が正解です。