電験三種の過去問解説(電力):2015年(平成27)問6
保護リレー(論説)
保護リレーに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)保護リレーは電力系統に事故が発生したとき、事故を検出し、事故の位置や種類を識別して、事故箇所を系統から直ちに切り離す指令を出して遮断器を動作させる制御装置である。
(2)高圧配電線路に短絡事故が発生した場合、配電用変電所に設けた過電流リレーで事故を検出し、遮断器に切り離し指令を出し事故電流を遮断する。
(3)変圧器の保護に最も一般的に適用される電気式リレーは、変圧器の一次側と二次側の電流の差から異常を検出する差動リレーである。
(4)後備保護は、主保護不動作や遮断器不良など、何らかの原因で事故が継続する場合に備え、最終的に事故除去する補完保護である。
(5)高圧需要家に構内事故が発生した場合、同需要家の保護リレーよりも先に配電用変電所の保護リレーが動作して遮断器に切り離し指令を出すことで、確実に事故を除去する。
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過去問のポイント
各種保護リレーの意味と、保護協調の考え方が問われています。
問題を解くポイント
- 保護リレーとは(1)
- 過電流リレーとは(2)
- 差動リレーとは(3)
- 後備保護とは(4)
- 保護協調とは(5)
保護リレーとは
保護リレー
事故箇所を系統から直ちに切り離す指令を出して遮断器を動作させる制御装置
したがって、(1)の記述は正しいです。
ひょっとしたら、『断路器を動作させる』といった感じで誤った記述が出題される可能性もあるので、何を動作されるのかを意識して読むと良いと思います。
過電流リレーとは
過電流リレー
配電用変電所に設けられ、高圧配電線路の短絡事故が検出し、切り離し指令を出して遮断器を動作される制御装置
したがって、(2)の記述は正しいです。
差動リレーとは
差動リレー
変圧器の一次側と二次側の電流の差から異常を検出する装置
したがって、(3)の記述は正しいです。
変圧器の保護に最も一般的に適用される電気式リレーであることは、過去問学習に余裕ができたら覚えましょう。
後備保護とは
後備保護
主保護不動作や遮断器不良など、何らかの原因で事故が継続する場合に備え、最終的に事故除去する補完保護
したがって、(4)の記述は正しいです。
保護協調とは
保護協調
高圧需要家に構内事故が発生した場合、配電用変電所の保護リレーよりも先に同需要家の保護リレーを動作させる
したがって、(5)の記述は誤りです。
注意ポイント
配電用変電所と需要家…どちらの保護リレーを先に動作させるのかがポイント
配電用変電所の保護リレーを先に動作させてしまうと、事故の無い系統まで停電してしまうため、かなり迷惑です。