電験三種の過去問解説(機械):2019年(令和元年)問3
三相誘導電動機の効率(計算)
4極の三相誘導電動機が60Hzの電源に接続され、出力5.75
kW、回転速度1656min-1で運転されている。このとき 、一次銅損、二次銅損及び鉄損の三つの損失の値が等しかった。こ のときの誘導電動機の効率の値[%]として、最も近いものを次の (1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、その他の損失は無視できるものとする。
(1)76.0 (2)77.8 (3)79.3 (4)80.6 (5)88.5
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過去問解説
誘導電動機の効率は下記式で求められます。
誘導電動機の効率
\(η=\displaystyle\frac{P_o}{P_o+P_i+P_{C1}+P_{C2}}×100[\%]\)
\(P_o:機械的出力\)
\(P_i:鉄損\)
\(P_{C1}:一次銅損\)
\(P_{C2}:二次銅損\)
機械的出力Poは5.75[kW]と記載されているため、鉄損と一次銅損と二次銅損を求めて代入しましょう。
二次銅損PC2の算出
問題文より、一次銅損、二次銅損及び鉄損の値が等しいと記述されているので、下記式を用いて二次銅損PC2を求めましょう。
機械的出力と二次銅損の関係
\(P_{C2}:P_o=s:1-s\)
\(P_{C2}=\displaystyle\frac{sP_o}{1-s}\)
すべりと同期速度
\(s=\displaystyle\frac{N_s-N}{N_s}\)
\(N_s=\displaystyle\frac{120}{p}f\)
\(N_s:同期速度\)
\(N:回転子速度\)
\(p:極数\)
\(f:周波数\)
先ずは同期速度を求めます。
\(N_s=\displaystyle\frac{120}{p}f\)
\(=\displaystyle\frac{120}{4}×60\)
\(=1800[min^{-1}]\)
続いて、同期速度をすべりの式に代入します。
\(s=\displaystyle\frac{N_s-N}{N_s}\)
\(=\displaystyle\frac{1800-1656}{1800}\)
\(=0.08\)
したがって、二次銅損は
\(P_{C2}=\displaystyle\frac{sP_o}{1-s}\)
\(=\displaystyle\frac{0.08×5750}{1-0.08}\)
\(=500[W]\)
となります。
ポイント
問題文より、一次銅損、二次銅損及び鉄損の値が等しい
\(P_{C2}=P_{C1}=P_i=500[W]\)
効率の式に、求めた損失の値と機械的出力を代入しましょう。
\(η=\displaystyle\frac{5750}{5750+500+500+500}×100\)
\(=79.3[\%]\)
したがって、(3)が正解です。