電験三種の過去問解説(機械):2019年(令和元年)問13
周波数伝達関数の式(計算)
図1に示すR-L回路において、端子a-a'間に5Vの階段状の
ステップ電圧v1(t)[V]を加えたとき、抵抗R2[Ω] に発生する電圧をv2(t)[V]とすると、v2(t) は図2のようになった。この回路のR1[Ω]、R2[Ω] 及びL[H]の値と、入力をv1(t)、出力をv2(t)とした ときの周波数伝達関数G(jω)の式として、正しいものを次の( 1)~(5)のうちから一つ選べ。
R1 R2 L G(jω) (1) 80 20 0.2 \(\displaystyle\frac{0.5}{1+j0.2ω}\) (2) 40 10 1.0 \(\displaystyle\frac{0.5}{1+j0.02ω}\) (3) 8 2 0.1 \(\displaystyle\frac{0.2}{1+j0.2ω}\) (4) 4 1 0.1 \(\displaystyle\frac{0.2}{1+j0.02ω}\) (5) 0.8 0.2 1.0 \(\displaystyle\frac{0.2}{1+j0.2ω}\)
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過去問解説
問題を見ると、R1、R2、Lの値を求めたくなると思いますが、電験三種の知識では求められません…
そこで、周波数伝達関数G(jω)の式を求めていきましょう。ちなみに、基本式は下記で表されます。
周波数伝達関数
\(G(jω)=\displaystyle\frac{v_2}{v_1}\)
回路を流れる電流をIとすると、電圧v1、v2は下記式で表せます。
\(v_1=(R_1+R_2+jωL)I\)
\(v_2=R_2I\)
これらを周波数伝達関数の式に代入すると、
\(G(jω)=\displaystyle\frac{R_2I}{(R_1+R_2+jωL)I}\)
\(=\displaystyle\frac{R_2}{R_1+R_2+jωL}・・・①式\)
となります。
図2より、v2は十分時間が経過すると1Vになることがわかるので、R1の電圧vR1は
\(v_{R1}=5-1=4[V]\)
となります。
分圧比の関係から、
\(R_1:R_2=v_{R1}:v_2\)
\(R_1:R_2=4:1\)
\(R_1=4R_2・・・②式\)
となります。
次に、時定数τは下記式で求められます。
時定数を求める式
\(τ=\displaystyle\frac{L}{R_1+R_2}\)
図2よりτ=0.02であることがわかるので、
\(0.02=\displaystyle\frac{L}{R_1+R_2}\)
\(0.02=\displaystyle\frac{L}{4R_2+R_2}\)
\(\displaystyle\frac{L}{5R_2}=0.02\)
\(L=0.1R_2・・・③式\)
となります。
ここで、①式に②式と③式を代入しましょう。
\(G(jω)=\displaystyle\frac{R_2}{4R_2+R_2+jω0.1R_2}\)
\(=\displaystyle\frac{R_2}{5R_2+jω0.1R_2}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{5+j0.1ω}\)
\(=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{5}}{\displaystyle\frac{5}{5}+j\displaystyle\frac{0.1}{5}ω}\)
\(=\displaystyle\frac{0.2}{1+j0.02ω}\)
したがって、(4)が正解です。