電験三種の過去問解説(電力):2018年(平成30)問7
変圧器の保全・診断(論説)
変圧器の保全・診断に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)変圧器の予防保全は、運転の維持と事故の防止を目的としている。(2)油入変圧器の絶縁油の油中ガス分析は内部異常診断に用いられる。
(3)部分放電は、絶縁破壊が生じる前ぶれである場合が多いため、異常診断技術として、部分放電測定が用いられることがある。
(4)変圧器巻線の絶縁抵抗測定と誘電正接測定は、鉄心材料の経年劣化を把握することを主な目的として実施される。
(5)ガスケットの経年劣化に伴う漏油の検出には、目視点検に加え、油面計が活用される。
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過去問解説
全く勉強していない方は解けて、中途半端に変圧器の知識があると難しい変わった問題です。
繰り返し過去問学習をされている方は、解答部分以外の記述内容も覚えるようにしましょう。
問題を解くポイント
- 予防保全の目的(1)
- 油中ガス分析とは(2)
- 部分放電測定とは(3)
- 絶縁抵抗測定、誘電正接測定とは(4)
- 漏油の変出方法(5)
予防保全の目的
予防保全の目的
運転の維持と事故の防止
したがって、(1)の記述は正しいです。
油中ガス分析とは
油中ガス分析
内部異常診断に用いる
変圧器内部で、局部過熱や部分放電、アーク放電が発生すると、特有の分解ガスが発生して、大部分が絶縁油の中に溶解します。
絶縁油中に含まれるガスを分析することで、内部異常(局部過熱、部分放電、アーク放電)の種類を推測することができます。
したがって、(2)の記述は正しいです。
部分放電測定とは
部分放電測定
部分放電に伴う微弱なパルス信号を測定する異常診断技術
部分放電とは、絶縁物の内部に微小空げき(ボイド)があると、高電圧が印加されると部分放電(ボイド放電)が発生し劣化の原因となり、最終的には絶縁破壊に至ります。
つまり、部分放電は絶縁破壊が生じる前ぶれであると言えるので、(3)の記述は正しいです。
絶縁抵抗測定と誘電正接測定とは
絶縁抵抗測定と誘電正接測定
巻線の経年劣化を把握する異常診断技術
したがって、(4)の記述は誤りです。
覚えていないと解けない問題に見えますが、実は問題文をよく見ると、絶縁抵抗測定と誘電正接測定を知らなくても正解できます。
【問題文(4)】
変圧器巻線の絶縁抵抗測定と誘電正接測定は、鉄心材料の経年劣化を把握することを主な目的として実施される。
黄色で強調した部分を見て下さい…巻線を測定しても鉄心の経年劣化はわかりません。
巻線を測定してわかることは、巻線のことです。
間違えてしまった方が一歩引いて考えると、単純だなって思えてもらえれば幸いです。
漏油の検出方法
漏油の検出方法
目視点検と油面計で検出
したがって、(5)の記述は正しいです。
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過去問をベースにしたオリジナル問題
空白部以外の箇所が問われる可能性があります。
過去問をベースにしたオリジナル問題を作成しているので、違った視点で勉強したい方はご活用下さい。
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