電験三種の過去問解説(電力):2016年(平成28)問4
原子力発電所の核燃料サイクル(穴埋)
次の文章は、原子力発電における核燃料サイクルに関する記述である。
天然ウランには主に質量数235と238の同位体があるが、原子力発電所の燃料として有用な核分裂性物質のウラン235の割合は、全体の0.7%程度にすぎない。そこで、採鉱されたウラン鉱石は製錬、転換されたのち、遠心分離法などによって、ウラン235の濃度が軽水炉での利用に適した値になるように濃縮される。その濃度は \(\fbox{ (ア) }\) %程度である。さらに、その後、再転換、加工され、原子力発電所の燃料となる。
原子力発電所から取り出された使用済燃料からは、\(\fbox{ (イ) }\) によってウラン、プルトニウムが分離抽出され、これらは再び燃料として使用することができる。プルトニウムはウラン238から派生する核分裂性物質であり、ウランとプルトニウムとを混合した \(\fbox{ (ウ) }\) を軽水炉の燃料として用いることをプルサーマルという。
また、軽水炉の転換比は0.6程度であるが、高速中性子によるウラン238のプルトニウムへの変換を利用した \(\fbox{ (エ) }\) では、消費される核分裂性物質よりも多くの量の新たな核分裂性物質を得ることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 3~5 再処理 MOX燃料 高速増殖炉 (2) 3~5 再処理 イエローケーキ 高速増殖炉 (3) 3~5 再加工 イエローケーキ 新型転換炉 (4) 10~20 再処理 イエローケーキ 高速増殖炉 (5) 10~20 再加工 MOX燃料 新型転換炉
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過去問のポイント
参考書によっては、使用済み燃料の再処理に関することや、プルサーマルについて記載されていない可能性があります。
情報不足の参考書で勉強されている方は、参考書に追記しておきましょう。
問題を解くポイント
- 低濃縮ウランとは
- 使用済燃料の処理
- プルサーマルとは
- 高速増殖炉とは
低濃縮ウランとは
低濃縮ウラン
ウラン235の濃度3~5[%]
原子力発電所の燃料として有用な核分裂性物質のウラン235の割合は、全体の0.7%程度にすぎないことも覚えておきましょう。
使用済燃料の処理
使用済燃料の処理
再処理によってウラン、プルトニウムが分離抽出して再び燃料として使用する
プルサーマルとは
プルサーマル
ウランとプルトニウムとを混合したMOX燃料を軽水炉の燃料として用いること
ちなみにイエローケーキとは、ウラン鉱石精製の過程の濾過液から得られるウラン含量の高い粉末です。
高速増殖炉とは
高速増殖炉
高速中性子によるウラン238のプルトニウムへの変換を利用した発電
【特徴】
・減速材が無い
・原子炉内でプルトニウムを核分裂させながら同時にウラン238を原料にして新しいプルトニウムを作り出す
せっかくなので、選択肢に記載されている新型転換炉についても復習しておきましょう。
新型転換炉
・燃料にプルトニウムを使用できる
・減速材が重水
・冷却材に沸騰軽水を使用した直接サイクルの原子炉
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過去問をベースにしたオリジナル問題
空白部以外の箇所が問われる可能性があります。
過去問をベースにしたオリジナル問題を作成しているので、違った視点で勉強したい方はご活用下さい。
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