電験三種の過去問解説(電力):2015年(平成27)問2
汽力発電所における再生サイクルと再熱サイクル(論説)
汽力発電所における再生サイクル及び再熱サイクルに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)再生サイクルは、タービン内の蒸気の一部を抽出して、ボイラの給水加熱を行う熱サイクルである。
(2)再生サイクルは、復水器で失う熱量が減少するため、熱効率を向上させることができる。
(3)再生サイクルによる熱効率向上効果は、抽出する蒸気の圧力、温度が高いほど大きい。
(4)再熱サイクルは、タービンで膨張した湿り蒸気をボイラの過熱器で加熱し、再びタービンに送って膨張させる熱サイクルである。
(5)再生サイクルと再熱サイクルを組み合わせた再熱再生サイクルは、ほとんどの大容量汽力発電所で採用されている。
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過去問のポイント
再生サイクルと再熱サイクルについては、用いられる設備の名称と意味だけではなく、『設備が設けられる位置』及び『水・蒸気の流れ』まで意識して覚えることをオススメします。
問題を解くポイント
- 再生サイクルとは(1)(2)(3)
- 再熱サイクルとは(4)
- 再熱再生サイクルとは(5)
再生サイクルとは
再生サイクル
・タービン内の蒸気の一部を抽出して、ボイラの給水加熱を行う熱サイクル
・復水器で失う熱量が減少(熱効率向上)
・抽出する蒸気の圧力と温度が高いほど、熱効率向上効果が大きい
したがって、(1)(2)(3)の記述は正しいです。
再熱サイクルとは
再熱サイクル
タービンで膨張した湿り蒸気をボイラの再熱器で加熱し、再びタービンに送って膨張させる熱サイクル
したがって、(4)の記述は誤りです。
過熱器と再熱器は役割が違うので注意しましょう!
注意ポイント
・過熱器:蒸気の温度を沸点(飽和温度)よりも高い温度にする装置
・再熱器:温度が下がった蒸気を、再加熱して乾き蒸気にする装置
再熱再生サイクルとは
再熱再生サイクル
・再生サイクルと再熱サイクルを組み合わせた再熱再生サイクル
・ほとんどの大容量汽力発電所で採用されている
したがって、(5)の記述は正しいです。