電験三種の過去問解説(電力):2015年(平成27)問1
水力発電所における理論水力の単位(穴埋)
水力発電所の理論水力\(P\)は位置エネルギーの式から\(P=ρgQH\)と表される。ここで\(H[m]\)は有効落差、\(Q[m^3/s]\)は流量、\(g\)は重力加速度\(=9.8m/s^2\)、\(ρ\)は水の密度\(=1000kg/m^3\)である。以下に理論水力\(P\)の単位を検証することとする。なお、\(Pa\)は「パスカル」、\(N\)は「ニュートン」、\(W\)は「ワット」、\(J\)は「ジュール」である。
\(P=ρgQH\)の単位は\(ρ,g,Q,H\)の単位の積であるから、\(kg/m^3・m/s^2・m^3/s・m\)となる。これを変形すると、\(\fbox{ (ア) }\)・\(m/s\)となるが、\(\fbox{ (ア) }\)は力の単位 \(\fbox{ (イ) }\) と等しい。すなわち\(P=ρgQH\)の単位は \(\fbox{ (イ) }\)・\(m/s\)となる。ここで \(\fbox{ (イ) }\)・mは仕事(エネルギー)の単位である \(\fbox{ (ウ) }\) と等しいことから\(P=ρgQH\)の単位は \(\fbox{ (ウ) }\)/sと表せ、これは仕事率(動力)の単位である \(\fbox{ (エ) }\) と等しい。ゆえに、理論水力\(P=ρgQH\)の単位は \(\fbox{ (エ) }\) となるが、重力加速度\(g=9.8m/s^2\)と水の密度\(ρ=1000kg/m^3\)の数値9.8と1000を考慮すると\(P=9.8QH\) [\(\fbox{ (オ) }\)]と表せる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) \(kg・m\) Pa W J kJ (2) \(kg・m/s^2\) Pa J W kW (3) \(kg・m\) N J W kW (4) \(kg・m/s^2\) N W J kJ (5) \(kg・m/s^2\) N J W kW
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過去問のポイント
公式は電験三種の勉強をしていれば必ず扱うので、普通に解けたと思います。
単位が全く分からなったという方は、計算問題における引っかけ問題(単位が異なる)などで不正解になる可能性もあるため、勉強する際は単位に注意しながら公式を利用しましょう!
問題を解くポイント
- 理論水力の単位(ア)(オ)
- 力の単位(イ)
- 仕事の単位(ウ)
- 仕事率の単位(エ)
理論水力の単位
\(P=ρgQH\)の単位は\(ρ,g,Q,H\)の単位の積であるから、\(kg/m^3・m/s^2・m^3/s・m\)となると記載されているので、素直に変形しましょう!
\(\displaystyle\frac{kg}{m^3}・\displaystyle\frac{m}{s^2}・\displaystyle\frac{m^3}{s}・m = (ア) ・\displaystyle\frac{m}{s}\)
\(\displaystyle\frac{kg・m^2}{s^3} = (ア) ・\displaystyle\frac{m}{s}\)
\( (ア) = \displaystyle\frac{kg・m^2}{s^3}・\displaystyle\frac{s}{m}\)
\( (ア) =kg・\displaystyle\frac{m}{s^2}\)
基礎知識
(イ)力の単位:\(N=kg・\displaystyle\frac{m}{s^2}\)
(ウ)仕事の単位:\(J=N・m\)
(エ)仕事率の単位:\(W=J/s\)
(ア)(イ)(ウ)(エ)の内容を整理すると\(P=ρgQH\)の単位は、
\(P=kg・\displaystyle\frac{m}{s^2}・\displaystyle\frac{m}{s}\)
\(=N・\displaystyle\frac{m}{s}\)
\(=\displaystyle\frac{J}{s}\)
\(=W\)
となります。
問題文より
重力加速度\(g=9.8m/s^2\)と水の密度\(ρ=1000kg/m^3\)を考慮
\(P=ρgQH[W]\)
\(=9.8×10^3QH[W]\)
\(=9.8QH[kW]\)
となり、(5)が正解です。