電験三種の過去問解説(電力):2016年(平成28)問13
単相2線式線路の電圧降下(計算)
図のような単相2線式線路がある。母線F点の線間電圧が\(107V\)のとき、B点の線間電圧が\(96V\)になった。B点の負荷電流\(I[A]\)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、使用する電線は全て同じものを用い、電線1条当たりの抵抗は、1km当たり\(0.6Ω\)とし、抵抗以外は無視できるものとする。また、全ての負荷の力率は100%とする。
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過去問のポイント
三相3線式の計算問題は多いですが、今回のように単相2線式の計算問題は少ないので貴重です。
もし、受験される年度で単相2線式の計算問題が出題されても、対応できるように、公式と解き方のパターンをマスターしておきましょう。
step
1今回の問題における単相2線式線路の電圧降下の公式
単相2線式の電圧降下
\(ΔV=2I(rcosθ+xsinθ)[V]\)
上記式より単相2線式の電圧降下を求められますが、問題文の記述を良く確認して変換しましょう。
問題文のここに注目
・抵抗以外は無視できる
・全ての負荷の力率は100%
問題文の条件を単相2線式の電圧降下式に反映しましょう。
\(ΔV=2I(r×1+抵抗以外無視)[V]\)
\(ΔV=2Ir[V]\)
step
2各送電線路の抵抗と電流、電圧降下
各送電線路の抵抗
・FA間:\(r_{FA}=0.6×0.05=0.03[Ω]\)
・AB間:\(r_{AB}=0.6×0.2=0.12[Ω]\)
・FC間:\(r_{FC}=0.6×0.1=0.06[Ω]\)
・CB間:\(r_{CB}=0.6×0.15=0.09[Ω]\)
FB間の電圧降下
"母線F点の線間電圧が\(107V\)"、"B点の線間電圧が\(96V\)"より、
\(ΔV_{FB}=107-96=11[V]\)
各線路の電流
・FA間:\(I_{FA}=I_{AB}+60[A]\)
・AB間:\(I_{AB}[A]\)
・FC間:\(I_{FC}=I_{CB}+80[A]\)
・CB間:\(I_{CB}[A]\)
それぞれ、図に描き込んでおきましょう!
step
3各電流の計算
\(I_{AB}\)と\(I_{CB}\)を求めるために、FABの経路、FCBの経路ごとに 、整理した単相2線式線路の電圧降下の公式\(ΔV=2Ir[V]\)に数値を代入していきましょう。
FAB経路で計算(\(I_{AB}\)を求める)
\(ΔV_{FB}=ΔV_{FA}+ΔV_{AB}\)
\(11=2×(I_{AB}+60)×0.03+2×I_{AB}×0.12\)
\(11=0.3I_{AB}+3.6\)
\(0.3I_{AB}=11-3.6\)
\(I_{AB}=24.67[A]\)
FCB経路で計算(\(I_{CB}\)を求める)
\(ΔV_{FB}=ΔV_{FC}+ΔV_{CB}\)
\(11=2×(I_{CB}+80)×0.06+2×I_{CB}×0.09\)
\(11=0.3I_{CB}+9.6\)
\(0.3I_{CB}=11-9.6\)
\(I_{CB}=4.67[A]\)
\(I_{AB}\)と\(I_{CB}\)を足して、負荷電流\(I[A]\)を求めましょう
\(I=24.67+4.67=29.34[A]\)
したがって、(1)が正解です。