こんな方におすすめ
- 技能の練習をこれから始める方
- 制限時間ギリギリで時短する方法を知りたい方
このような方に向けて記事を作成しています。
第二種電気工事士の技能試験では、配布された配線図通りに作品を完成させます。
技能試験で実際にやる作業の流れは下記の通り…
技能試験の内訳
となっていて、ケーブルの切断、剥ぎ取りは全体にしめる割合も多い重要な作業です。
(候補問題は13問あるため、難易度によって15分~30分と大きく施工時間がバラツキます)
また、施工条件に対してケーブルの長さを間違えて切断したら取り返しがつかない失敗になってしまうことからも、ミスした際のリスクが高い作業です。
そこでこの記事では、ケーブル加工のポイントとなる
- 寸法取り
- 切断方法
- 剥ぎ取り方法
についてまとめました。
寸法取りについては、長すぎや短すぎは欠陥になり不合格となってしまうので、必ず正しいやり方を覚えておきましょう。
この記事を書いた人
保有資格:電験三種 & 電工二種
群馬を拠点にCT125ハンターカブでツーリングしています
ケーブルと電線の種類
第二種電気工事士試験の技能試験で使用するケーブルや電線は数種類です。
ちなみに、配線図に描かれている材料しか支給されないので、名称を暗記しなくても実物を見て、配線図通りに必要な電線を選択できれば大丈夫です。
VVFケーブルは心線の数が2つのものと、3つのものがあります。また、心線の太さが1.6mmと2.0mmのものがあります。
シースや絶縁被覆をVVFストリッパーで剥ぎ取る際に、挟み間違えて心線や絶縁被覆を傷つけないように注意して下さい。
*『心線の傷』と『絶縁被覆から心線露出』は欠陥となります。
VVRケーブルはシースと絶縁被覆の間に介在物(テープ?紙?)が入っているので、電工ナイフで剥ぎ取ります。
もしまだ、電工ナイフなど電工二種で必要な工具を準備されていない方はこちらの記事をご確認下さい。
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第二種電工事士の技能(実技)を初受験する方へ|オススメの勉強方法解説
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IVケーブルは金属管やPF管などの電線管で保護して使用します…つまり、施工工程が多くなるので試験本番で出てきたら、かなり運が悪いです…。
なお、家庭用の電化製品で目にする機会もあるので大丈夫だと思いますが、緑色のIV線は接地線に用います。
ケーブルの寸法取り
ケーブルの寸法取りについては、複線図の描き方でも説明しているため、簡単に説明すると…
寸法取りのポイント
配線図の寸法に対して、
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
加算して寸法取りします。
このような感じです。
実際に、配線図を参考に寸法取りを説明します。
【電源からAまでのEM-EEFケーブル】
A部で電線相互を接続するため+100mm
寸法取り:150+100=250mm
【AからスイッチまでのVVF 1.6-2Cケーブル】
A部で電線相互を接続するため+100mm
スイッチに結線するため+100mm
寸法取り:100+150+100=350mm
【Aから引掛シーリング(イ)までのVVF 1.6-2Cケーブル】
A部で電線相互を接続するため+100mm
照明器具に結線するため:+50mm
寸法取り:100+150+50=300mm
このような感じで他のケーブルも寸法取りしていくと、下図のようになります。
寸法取りのポイントを覚えて、切り出し寸法を導けるようになりましょう。
ケーブル長さの欠陥とは
ここで注意して頂きたいのですが、完成した作品の寸法が
ココに注意
になってしまい、不合格になってしまいます。
例えば、配線図に150mmと記載されていた際、完成品の寸法(器具の中心から器具の中心まで)が75mm以下の場合、欠陥扱いで不合格になってしまいます。
複線図を書く際の寸法取りで、剥ぎ取りや結線分の加算寸法を忘れてしまうと50%以下になるので、必ず寸法を加算して加工しましょう。
ケーブルの切断
基本的には導いた寸法の通りに切断すれば良いのですが、同じケーブルが2本支給された場合は注意して下さい!
と言うのも、例えば先ほどの複線図ですが、
VVF 1.6-2Cの900mmを2本支給された場合、適当に切り分けないようにして下さい。
【1本目の900mm】
Aから引掛シーリング(イ)までの300mm
Bからランプレセプタクル(ロ)までの300mm
Bから施工省略(ハ)までの250mm
あまり:900-300-300-250=50mm
【2本目の900mm】
Aからスイッチまでの350mm×2本
スイッチの渡り線100mm×2本
あまり:900-(350×2)-(100×2)=0mm
のような組合せで切断します。
適当に切断していると、必要な寸法を切り出せなくなるので、同じ電線が2本支給された場合は組合せに注意しましょう。
ケーブルシースの剥ぎ取り
ケーブルシースは、寸法取りの時に加算した寸法を剥ぎ取ります。
おさらいのために、寸法取りで加算した値を下記に示します。
寸法取りのポイント
配線図の寸法に対して、
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
加算して寸法取りします。
シースはVVFストリッパーで剥ぎ取りますが、心線の太さに応じて使用する刃が異なります。
誤った刃で挟んでしまい、絶縁被覆に傷をつけて心線を露出させないように注意しましょう!
絶縁被覆の剥ぎ取り
絶縁被覆の剥ぎ取りは、全て30mm剥ぎ取ることを記載している参考書もありますが、コレかなり時間の無駄です。
なぜかと言うと、絶縁被覆を剥ぎ取った後、配線器具との結線や差込形コネクタでの接続の際に、心線を切断する工程が生じるからです。
ポイント
心線を切断する工程は無駄なので、心線を切断しなくても良いように絶縁被覆を剥ぎ取りましょう。
絶縁被覆の剥ぎ取り寸法は下記のようになります。
絶縁被覆の剥ぎ取り寸法
【現物合わせ】
・スイッチ結線部
・コンセント結線部
・パイロットランプ結線部
・引掛シーリング結線部
・差込形コネクタ結線部
・端子台結線部
・配線用遮断器結線部
【30mm】
・リングスリーブ接続部
・ランプレセプタクル結線部
【40mm】
・露出形コンセント結線部
上記一覧を見てわかる通り、30mm剥ぎ取るものは少なく、ほとんどが現物合わせとなります。
現物合わせとは、写真のように裏面や側面に剥ぎ取る寸法が記載されているので、寸法に合わせて剥ぎ取ります。
*端子台と配線用遮断器は、端面から心線が露出しないように目検で剥ぎ取ります。
電工ナイフでの剥ぎ取り(VVRケーブル)
VVFケーブルはVVFストリッパーで剥ぎ取れますが、VVRケーブルは電工ナイフで剥ぎ取ります。
*カッターは使用禁止です。
VVRケーブルを使用する問題は少ないですが、しっかりとやり方を覚えておきましょう。
step
1ケーブルを曲げる
先ずは、VVRケーブルの剥ぎ取らない側を曲げておきます。
中の介在物(紙?テープ?)が抜けやすいので、曲げることで防止できます。
step
2シース全周に切り込みを入れる
VVRケーブルのシースに電工ナイフの刃を当てて、全周に切り込みを入れます。
絶縁被覆を傷つけないために、深く切り込みを入れないように注意しましょう。
step
3シースに縦の切り込みを入れる
ステップ2で入れた全周の切り込みに対して、垂直方向(縦方向)の切り込みを2本入れます。
こちらも、絶縁被覆を傷つけないために、深く切り込みを入れないように注意しましょう。
step
4ペンチでシースを剥ぎ取る
VVRのシースをペンチでつまんで剥ぎ取ります。
(全周に入れた切り込みと、縦の切り込みが上手く入っていれば、ペンチでつままなくても剥ぎ取れます)
step
5介在物を電工ナイフで切り取る
介在物を束ねて電工ナイフで切り取ります。
ここで注意すべきポイントはナイフの刃を自分に向けないことです。
誤って手を切って出血してしまった場合、状況によっては途中退場となりますのでご注意下さい。
ケーブル寸法取り・切断・剥ぎ取りのまとめ
切断と剥ぎ取り自体は簡単ですが、寸法取りのルールはしっかりと覚えておきましょう。
寸法取りのポイント
配線図の寸法に対して、
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
加算して寸法取りします。
絶縁被覆の剥ぎ取り寸法
【現物合わせ】
・スイッチ結線部
・コンセント結線部
・パイロットランプ結線部
・引掛シーリング結線部
・差込形コネクタ結線部
・端子台結線部
・配線用遮断器結線部
【30mm】
・リングスリーブ接続部
・ランプレセプタクル結線部
【40mm】
・露出形コンセント結線部
VVRケーブルが支給された場合は電工ナイフで施工しましょう。
ケーブルの加工ができたら、次は器具への結線です。
候補問題によって結線する器具は異なりますが、第二種電気工事士の技能試験で使用する器具への結線方法は全て覚えて受験しましょう!
技能試験候補問題について
技能試験の候補問題については、YouTubeで動画解説しています。是非、ご活用下さい(^^)