こんな方におすすめ
- 電工二種の技能試験を受験予定
- 複線図の描き方を知りたい
- 技能試験でどんな知識が必要か知りたい
このような方に向けて、記事を作成しています。
第二種電気工事士の技能試験は、配られた配線図(単線図)と施工条件をもとに、作品を完成させる試験です。
しかし、単線図のまま施工してしまうと、こういった感じで
欠陥
・ケーブルが短すぎor長すぎ
・結線する色の誤り
・スイッチ(イ)と異なる器具(ロ)への結線
などの、ミスが多くなってしまいます。
このような施工ミスを避けるために作成するのが複線図です。
単線図を複線図にすることで、
ポイント
- 電線を結線する色がわかる
- スイッチと対応する器具への結線がわかる
- ケーブルの切断長さ、剥ぎ取り長さがわかる
といった感じで、施工しやすくなります。
パット見ただけでは、どうやって複線図にするのかわからないと思うので、この記事にて複線図の描き方を解説します。
候補問題の練習を始める前に、複線図をマスターしておきましょう!
参考
候補問題の練習をいつから始めたら良いのか不安な方は、こちらの記事をご確認下さい。
-
【筆記合格後では遅い!】電工二種の実技(技能)はいつから練習するのが正解?
続きを見る
この記事を書いた人
保有資格:電験三種 & 電工二種
群馬を拠点にCT125ハンターカブでツーリングしています
(複線図を描く前に)まずは、施工条件を確認
配布された上記のような単線図から複線図を描く場合、まずは施工条件を確認しましょう!
施工条件(例)
1.配線及び器具の配置は、図に従って行うこと。
なお、「ロ」のタンブラスイッチは、取付枠の中央に取り付けること。
2.電線の色別(絶縁被覆の色)は、次によること。
①電源から接地側電線には、すべて白色を使用する。
②電源から点滅器までの非接地側電線には、すべて黒色を使用する。
③次の器具の端子には、白色の電線を結線する。
・ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子
・引掛シーリングローゼットの接地側極端子(W又は接地側と表示)
3.VVF用ジョイントボックス部分を経由する電線は、その部分ですべて接続箇所を設け、接続方法は、次によること。
①A部分は、リングスリーブによる接続とする。
②B部分は、差込形コネクタによる接続とする。
施工条件を見れば、
・器具の配置
・使用する電線の色
・電線同士の接続方法
がわかるので、施工条件の内容をふまえて複線図を描きましょう。
ちなみに、単線図を見た際に図記号と対応する配線器具をイメージできたでしょうか?
もし、図記号がわからないという方は、複線図の書き方を練習する前に第二種電気工事士の技能試験で使用する図記号と配線器具の種類を把握しておきましょう。
-
【知らないとキツイ】図記号と配線器具一覧(実物写真で理解しやすい)
続きを見る
複線図の描き方
単線図から複線図を描く際は、基本的に下記の手順で描いていきます。
複線図の描き方
①単線図通りに配線器具を配置する(施工条件に記載)
②接地側の電源(N)から白色の電線で、スイッチ以外を結線する(施工条件に記載)
③非接地側の電源(L)から黒色の電線で、スイッチと(今回は無いがコンセント)を結線する
④スイッチに対応する照明器具を結線する
⑤ケーブルの切断寸法を記入する
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
⑥リングスリーブ圧着マークを記入する
イメージしやすいように、図を用いて解説していきます。
単線図通りに配線器具を配置する
まずは施工条件に従って、配線器具を単線図の通りに配置しましょう。それぞれの器具を極力離しておくと、線が密集しないので見やすいです。
このとき、電源は非接地側(L)と接地側(N)を描き、スイッチは単線図と違う形(固定極と可動極)に描きなおしておきます。
接地側の電源(N)から白色の電線で、照明器具を結線する
電源の接地側(N)から、スイッチ以外の照明器具に結線していきます。
ココに注意
電源の接地側(N)から直接照明器具に結線しない
接地側(N)から白色で接続箇所AとBまで描き、各接続箇所から照明器具に繋いでいきましょう。
非接地側の電源(L)から黒色の電線で、スイッチを結線する
スイッチには固定極と可動極があります。
一応、固定極に黒色/可動極に白色を結線することが推奨されていますが、極性がないので、どちらの端子に結線しても大丈夫です。
(固定極に白色、可動極に黒色でもOK)
ただし、
ココに注意
ので、白色を使わないようにご注意下さい。
スイッチに対応する照明器具を結線する
スイッチに『イ』『ロ』『ハ』の記号があり、照明器具にも『イ』『ロ』『ハ』の記号があることから想像できる通り、同じ記号同士を結線していきます。
イ:位置表示灯内蔵スイッチと引掛シーリングローゼット
ロ:片切スイッチとランプレセプタクル
ハ:片切スイッチと施工省略部
このとき、引掛シーリングローゼット(イ)とランプレセプタクル(ロ)と施工省略部(ハ)には既に白色の電線が結線されているので、あまりの黒色を結線します。
しかし、『スイッチから接続箇所Aまで』と『接続箇所Aと接続箇所Bまで』は施工条件で指示されていないので、
ココがポイント
2心の場合は白色と黒色どちらでもよい
3心の場合は赤色と黒色どちらでもよい
と解釈できます。
つまり、下記のように4通りの複線図が描けることになります。施工条件を最初に読む必要性がそろそろ分かってきたかもしれませんね。
ケーブルの切断寸法を記入する
単線図に記載されている寸法は完成時の寸法なので、『器具への結線』や『電線相互の接続』を考慮して寸法を加算する必要があります。
加算寸法
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
完成時にケーブルが短すぎた…長すぎた…といった欠陥が無いように、加算寸法は必ず覚えておきましょう!
*ケーブルの寸法取りや基本作業(剥ぎ取り、切断)について、こちらの記事にて解説しているのでご確認下さい。
電工二種の基本作業解説】ケーブルの寸法取り、剥ぎ取り、切断≫
リングスリーブ圧着マークを記入する
施工条件より、接続箇所Aにおける電線相互の接続はリングスリーブを使用するとあるので、圧着マーク(〇/小/中)を記入しましょう。
電線の組合せ | 圧着マーク | リングスリーブ |
Φ1.6 × 2本 | 〇 | 小 |
Φ1.6 × 3本 | 小 | |
Φ1.6 × 4本 | ||
Φ2.0 × 2本 | ||
Φ1.6 × 1本とΦ2.0 × 1本 | ||
Φ1.6 × 2本とΦ2.0 × 1本 | ||
Φ1.6 × 3本とΦ2.0 × 1本 | 中 | 中 |
Φ1.6 × 1本とΦ2.0 × 2本 | ||
Φ1.6 × 2本とΦ2.0 × 2本 |
電線の組合せによって、圧着マークと使用するリングスリーブが異なるので、しっかり覚えておきましょう!
まとめ(候補問題で練習しましょう)
それでは、複線図を描く手順をおさらいしましょう。
複線図を描く手順
①単線図通りに図記号を配置する
②接地側の電源(N)から白色の電線で、スイッチ以外を結線する
③非接地側の電源(L)から黒色の電線で、スイッチとコンセントを結線する
④スイッチに対応する照明器具を結線する
⑤ケーブルの切断寸法を記入する
+50mm:照明器具結線部、
+100mm:スイッチやコンセント結線部
+100mm:電線相互接続部
⑥リングスリーブ圧着マークを記入する
あとは、実際に受験される年の候補問題で複線図の練習を繰り返して、
3分以内でかけるようになる
ことを目安にしてみると良いかもしれません。
複線図がかけたら、実際に手を動かして施工していきます。
基本的な作業についても解説しているので、事前にチェックして怪我には十分注意して練習して下さい。
技能試験の候補問題については、YouTubeで動画解説しています。是非、ご活用下さい(^^)