電験三種の過去問解説(電力):2019年(令和元年)問14
電気絶縁材料(論説)
電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)気体絶縁材料は、液体、個体絶縁材料と比較して、一般に電気抵抗率及び誘電率が低いため、個体絶縁材料内部にボイド(空隙、空洞)が含まれると、ボイド部での電界強度が高められやすい。
(2)気体絶縁材料は、液体、個体絶縁材料と比較して、一般に絶縁破壊強度が低いが、気圧を高めるか、真空状態とすることで絶縁破壊強度を高めることができる性質がある。
(3)内部にボイドを含んだ個体絶縁材料では、個体絶縁材料の絶縁破壊が生じなくても、ボイド内の気体が絶縁破壊することで部分放電が発生する場合がある。
(4)個体絶縁材料は、熱や電界、機械的応力などが長時間加えられることによって、個体絶縁材料内部に微少なボイドが形成されて、部分放電が発生する場合がある。
(5)個体絶縁材料内部で部分放電が発生すると、短時間に個体絶縁材料の絶縁破壊が生じることはなくても、長時間にわたって部分放電が継続的又は断続的に発生することで、個体絶縁材料の絶縁破壊に至る場合がある。
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過去問の解説
絶縁材料は参考書の最後におまけ程度にしか記載されていないので、様々な年度の過去問を解いて、参考書に記載されていない知識を補っていきましょう!
問題を解くポイント
- 絶縁材料の電気抵抗率及び誘電率(1)
- 絶縁材料の絶縁破壊強度(2)
- 個体絶縁材料の部分放電(3)(4)(5)
絶縁材料の電気抵抗率及び誘電率
電気抵抗率及び誘電率
気体絶縁材料は、液体、個体絶縁材料と比較して、一般に電気抵抗率及び誘電率が低いため、個体絶縁材料内部にボイド(空隙、空洞)が含まれると、ボイド部での電界強度が弱い
したがって、(1)の記述は誤りです。
電気抵抗率については『一般に』って言葉があるので成立しています…電気抵抗率が高い気体絶縁材料もあります。
絶縁材料の絶縁破壊強度
絶縁破壊強度
気体絶縁材料は、液体、個体絶縁材料と比較して、一般に絶縁破壊強度が低いが、気圧を高めるか、真空状態とすることで絶縁破壊強度を高めることができる性質がある
したがって、(2)の記述は正しいです。
個体絶縁材料の部分放電
部分放電
個体絶縁材料では、
・個体絶縁材料の絶縁破壊が生じなくても、ボイド内の気体が絶縁破壊することで部分放電が発生する場合がある
・熱や電界、機械的応力などが長時間加えられることによって、個体絶縁材料内部に微少なボイドが形成されて、部分放電が発生する場合がある
・内部で部分放電が発生すると、短時間に個体絶縁材料の絶縁破壊が生じることはなくても、長時間にわたって部分放電が継続的又は断続的に発生することで、個体絶縁材料の絶縁破壊に至る場合がある
したがって、(3)(4)(5)の記述は正しいです。