電験三種の過去問解説(電力):2019年(令和元年)問12
配電線路に用いられる電気方式(論説)
配電線路に用いられる電気方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)単相2線式は、一般住宅や商店などに配電するのに用いられ、低圧側の1線を接地する。
(2)単相3線式は、変圧器の低圧巻線の両端と中心から合計3本の線を引き出して低圧巻線の両端から引き出した線の一方を接地する。
(3)単相3線式は、変圧器の低圧巻線の両端と中心から3本の線で2種類の電圧を供給する。
(4)三相3線式は、高圧配電線路と低圧配電線路のいずれにも用いられる方式で、電源用変圧器の結線には一般的にΔ結線とV結線のいずれかが用いられる。
(5)三相4線式は、電圧線の3線と接地した中性線の4本の線を用いる方式である。
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過去問の解説
単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式については、計算問題の方は対策できていても、論説問題の対策ができていない方もいらっしゃると思います。
今回出題された内容をキッチリ覚えて、試験当日を迎えましょう。
問題を解くポイント
- 単相2線式とは(1)
- 単相3線式とは(2)(3)
- 三相3線式とは(4)
- 三相4線式とは(5)
単相2線式とは
単相2線式
一般住宅や商店などに配電するのに用いられ、低圧側の1線を接地する
したがって、(1)の記述は正しいです。
図に加えて、単相2線式の負荷電力と線路損失の公式を覚えておきましょう。
負荷電力:\(VIcosθ\)
線路損失:\(2RI^2\)
単相3線式とは
単相3線式
変圧器の低圧巻線の両端と中心から合計3本の線を引き出して低圧巻線の中性線を接地する。変圧器の低圧巻線の両端と中心から3本の線で2種類の電圧を供給する
したがって、(2)の記述は誤りで、(3)の記述は正しいです。
図を見てわかる通り、中性線を接地していて、VとV'の2種類の電圧を供給していることがわかります。
図に加えて、単相3線式の負荷電力と線路損失の公式を覚えておきましょう。
負荷電力:\(2VIcosθ\)
線路損失:\(2RI^2\)
三相3線式とは
三相3線式
高圧配電線路と低圧配電線路のいずれにも用いられる方式で、電源用変圧器の結線には一般的にΔ結線とV結線のいずれかが用いられる
したがって、(4)の記述は正しいです。
左図の通り、Δ結線が用いられていますが、変圧器が1台壊れても右図のようにV結線で供給することができます。
図に加えて、三相3線式の負荷電力と線路損失の公式を覚えておきましょう。
負荷電力:\(\sqrt3VIcosθ\)
線路損失:\(3RI^2\)
三相4線式とは
三相4線式
電圧線の3線と接地した中性線の4本の線を用いる方式
したがって、(5)の記述は正しいです。