電験三種の過去問解説(電力):2019年(令和元年)問11
電力ケーブルの布設方式(論説)
我が国の電力ケーブルの布設方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)直接埋設式には、掘削した地面の溝に、コンクリート製トラフなどの防護物を敷き並べて、防護物内に電力ケーブルを引き入れてから埋設する方式がある。
(2)管路式には、あらかじめ管路及びマンホールを埋設しておき、電力ケーブルをマンホールから管路に引き入れ、マンホール内で電力ケーブルを接続して布設する方式がある。
(3)暗きょ式には、地中に洞道を構築し、床上や棚上あるいはトラフ内に電力ケーブルを引き入れて布設する方式がある。電力、電話、ガス、上下水道などの地下埋設物を共同で収容するための共同溝に電力ケーブルを布設する方式も暗きょ式に含まれる。
(4)直接埋設式は、管路式、暗きょ式と比較して、工事期間が短く、工事費が安い。そのため、将来的な電力ケーブルの増設を計画しやすく、ケーブル線路内での事故発生に対して復旧が容易である。
(5)管路式、暗きょ式は、直接埋設式と比較して、電力ケーブル条数が多い場合に適している。一方、管路式では、電力ケーブルを多条数布設すると送電容量が著しく低下する場合があり、その場合には電力ケーブルの熱放散が良好な暗きょ式が採用される。
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過去問の解説
地中電線路の布設方式に関する問題は、各方式のイラストをイメージできるようになると、良いかもしれません。
問題を解くポイント
- 直接埋設式とは(1)(4)
- 管路式とは(2)(5)
- 暗きょ式とは(3)(5)
直接埋設式とは
直接埋設式
掘削した地面の溝に、コンクリート製トラフなどの防護物を敷き並べて、防護物内に電力ケーブルを引き入れてから埋設する方式
したがって、(1)の記述は正しいです。
直接埋設式の特徴
- 工事期間が短い
- 工事費用が安価
- ケーブル布設条数が少ない場所に適する
- 引替や増設が少ない場所に適する
- 布設後の増設、撤去、事故復旧が困難
- ケーブルが外傷を受けやすい
したがって、(4)の記述は誤りです。
管路式とは
管路式
あらかじめ管路及びマンホールを埋設しておき、電力ケーブルをマンホールから管路に引き入れ、マンホール内で電力ケーブルを接続して布設する方式
したがって、(2)の記述は正しいです。
管路式の特徴
- 直接埋設式よりも布設後の増設、撤去が容易
- 比較的多条数に適しているが、多条数になると放熱が悪くなり、許容電流の低減が大きくなる
- 路面の掘削を伴わないので、都市部で多く採用される
暗きょ式とは
暗きょ式
地中に洞道を構築し、床上や棚上あるいはトラフ内に電力ケーブルを引き入れて布設する方式
電力、電話、ガス、上下水道などの地下埋設物を共同で収容するための共同溝に電力ケーブルを布設する方式も暗きょ式に含まれる
したがって、(3)の記述は正しいです。
暗きょ式の特徴
- ケーブルの引替、増設、保守、点検が容易
- 多条数の布設に適している
- 熱放散が良好
- ケーブルが外傷を受けにくい
- 工事期間が長い
- 工事費が高価
したがって、(5)の記述は正しいです。